On the road〜海の街で

海街に家を建てて移り住むまでのよもやまばなし。から始まった、海街暮らしと日々のあれこれ

食いしん坊。

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冷蔵庫の整理をしていると、強力粉の賞味期限がギリギリだった。

子供が学校の課題でリンゴ酵母を手作りした時に買った。

手間暇かけて育てた酵母でパン作りをするというので、ちょっと奮発して高級な強力粉を用意してあげた。

ほのかにリンゴが香る、もちもちな食感の美味しいパンが焼き上がった。

 

賞味期限までそんなに日数がないし、そもそも食べ物を粗末にしたくない。

強力粉クッキングに日々勤しむことにした。

まずはパン作り。

酵母は手元にないので、市販のドライイーストを購入して使った。

こんなに大変だったかしら?と思うほど力を込めて生地をひたすら捏ねた。

何度か発酵させ、結構な時間がかかって白パンが焼き上がった。

前に娘が作ったパン同様、中はもちもち外はパリッとしていてなかなか上出来。

農産物販売所で見つけた格安小粒苺で作ったジャムを載せて、明日の朝食べよう。

明日の分以外は冷凍しておいた。

 

次は中学生の時に調理実習で作って以来のうどん。

あの時は生地をビニールに入れて、代わりばんこに足で踏んで捏ねた。

多感な中学生にとって、たとえビニールが間にあるといえども、教室の床で他人の足で踏んだものを食べるのが精神的に耐えられず、試食をしなかったり、はたまた気分を悪くし早退する生徒も数人出てしまった。

私も食べられなかった。

そんな軽いトラウマの元、うどんは手打ちで作ることにした。

そんなに熱心に捏ねあげなくても、ある程度手で捏ねれば十分だった。

捏ね上がった生地を粉をふりながら、麺棒で平らに広げていく。

三つ折りして、均等にカットしていく。

これを沸騰したお湯に入れて湯がく。

今回は熱々ネギたっぷりの、肉汁つけうどんにした。

ツルッと食感もよくもちっとして、これもとっても美味しかった。

うどんは手で捏ねても大丈夫だと、当時の家庭科の先生に是非とも伝えたい。

 

粉もだいぶ消費できてきたところで、最後に作ったのが餃子の皮。

薄力粉と混ぜて作ったので、強力粉は全部しっかり使い切った。

餃子は私の大好物。

前に薄力粉だけで作ったことはあるのだけれど、強力粉でうまくできるかしらん。

まずはうどん同様に生地を捏ねるところから始まる。

捏ねた生地で小さいボールをたくさん作って、麺棒の先を使い90度づつ生地を回して、一枚ずつ円形に広げていく。

強力粉はもちっとする特徴があるので、丸に薄く広げるのがなかなか困難だった。

ただ、強力粉を使ったほうが生地がにゅーんと伸びてくれるので、タネを包みやすい。

旬の春キャベツをたっぷり使ったタネを多めに包んでも、全然大丈夫。

ぷっくりとした可愛い餃子が出来上がった。

こんがりごま油で焼き目を付けた熱々の焼き餃子、シュワっと冷たいビールにとっても合う!

粉を使い切る関係でたくさんできてしまったので、半分は冷凍しておいた。

 

こうして、賞味期限ギリギリの強力粉レスキュークッキングは終了。

手間や時間がかかる料理を、余裕をもって作れるのは嬉しい。

家族がいれば時間も気になるし、そもそも一つの料理にかかりきりなることなど不可能だったと思う。

料理自体を心から楽しめるようになったのは、ひとりになってから。

私はきっと料理をすること自体が好きなんだと、こちらに来てから気づいた。

食材も新鮮なものが安価で手に入るので、新しいチャレンジもしやすい。

品揃えの良いスーパーも近所に何軒かあるので、スパイスなどの調味料もきちんと手に入る。

味噌も糠床も作ったし、時間の余裕は心の余裕で、なんでも作りたくなってしまう。

新鮮な若鶏の卵が手に入るのでアイスクリームもお手製だし、キャラメルソースさえもチャチャっと作る。買ってくるより美味しいし、安上がり。

無駄なものを添加しない、ヘルシーな食べ物を毎日食べられるのは安心。

 

料理好きな友人が言っていたことを思い出した。

「1日3回しかご飯は食べられないのに、1食でも美味しくないものを食べたくないわ。」

彼女はほとんどを手作りして食べるし、外食も納得いかないものは絶対に選ばない。

彼女のキッチンは素人の域を越していて、もちろんフルオーダーだし、プロ向けの調理器具が並ぶ。

究極の食いしん坊だ。

でも、その気持ちが少しわかって来た今日この頃。

 

 冷凍庫に保存してあるパンや餃子は子供が来た時にでも食べてもらおう。

元々は子供のために用意した強力粉なのだから。

 

この続きは、また次回。

sea you soon.