車を走らせて。
東京砂漠で暮らす海が大好きな私達。
旅行といえば海景色を求めて出かける。
太陽に照らされてキラキラした洋上をのんびり眺めたり、仰向けにぽっかり浮かんでみたり、波に乗っては飲まれてはしゃいだり。
水平線の向こうに沈む夕日をビールのグラスを傾けながら見届け、夜には新鮮な海の幸を美味しく頂き、日焼けに火照った体を持て余しながら波の音を子守唄に眠りにつく。
どこの海に出かけても、同じように海を相手にゆったり過ごしている。
至福の時間。
こんなにどこに行っても同じ過ごし方をするなら、お気に入りの海を見つけてみようか?
今すぐでなくても、いつか大好きな海のそばに住んでみたいね。
そんなふうに家族で話すようになった。
両親や家族が皆関東に住んでいるのと、夫の仕事や子供の進学を考えたら、東京と隣接していること。車の移動が多いので、道路事情が良いこと。ビーチがある海に徒歩で行けること。
いくつかの必須条件をもとに、ドライブがてらあちらこちらの海を訪れた。
それぞれの海に個性があり、その海を訪れる人々もその海の街の顔も様々。急ぐ必要もなかったので、ゆっくり、のんびり楽しみながら探していくことにした。
そんなふうに過ごして数年経ち、条件をクリアしたエリアが少しずつ絞られてきて、不動産情報も取り寄せるようになった頃。
長く続けているフラの仲間とのご飯会で、私より少し若いフラシスターとこの話になった。
彼女もパートナーと海の街に移住していた。私達がまだ訪れたことのない小さな街だった。「とっても良いところだから、一度来てみてね。」と誘ってくれた。早速次の休みに小さな宿の予約を入れて、車を走らせた。
東京から渋滞にも巻き込まれず、1時間かからず着いた静かなその街には、たっぷり緑を蓄えた山々と綺麗な海が広がっていた。
白い砂浜のビーチ、気持ちの良い芝、のんびりとした街の雰囲気。
フラシスターの待つ海岸に向かって家族と歩いて向かう道すがら、富士山が浮かんだ海の向こうを眺めながら思った。
「歩いているだけで幸せな気分」
こうして、私達もお気に入りの海街をやっと見つけたのだった。
その後の話はまた次回。
sea you soon