On the road〜海の街で

海街に家を建てて移り住むまでのよもやまばなし。から始まった、海街暮らしと日々のあれこれ

今住んでいる街。

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家づくりから次は、具体的な移住の段取りにステージが移ってくる。

 

私達家族が住んでいる東京のこの街には、子供が2歳の時に引っ越してきた。

切迫早産でしばらく入院を経験してからの出産になったため、出産後は私の実家でしばらく両親の手を借りての新生児育児になった。

入院中は出産をどうにか遅らせるため、ウテメリン点滴と寝たきりの生活が1ヶ月以上も続いたので、すっかり足腰が萎えていた。

子供も予定日より1ヶ月も早く生まれて、それはそれは小さかった。退院用に買ったベビードレスもお帽子もぶかぶかで、体が泳いでしまっていた。

ずるずると実家に甘えて世話になり、そのあとは体が弱かった子供のために実家に近い総合病院のそばにマンション借りた。

いざ体調を崩せば子供を抱えて連れて行き、両親もすぐに駆けつけてくれた。熱が出ればすぐに入院という状況だったので、自宅にはいつもボストンバッグに入院セットを用意していた。

2歳の誕生日を過ぎる頃になると、子供もだいぶ体が強くなってきた。

そろそろ東京に戻ろうということで、今の街に引っ越してきた。

 

都会の割には緑も多く、ファミリー世帯が多いこの地域は大使館も多く、インターナショナルな雰囲気ですぐに気に入った。

はじめに入居したマンションは、やはりファミリーが多く住んでいた。2歳の子供と同じくらいの子供がいる、いくつかの家族と仲良くなり、今でも交流を続けている。

駐車場を四角く囲う形で建てられたマンションは、駐車場が格好の遊び場で、よく子供たちを遊ばせていた。

仲良くなったきっかけは、子育て世代らしく「おむつってどこで買っていますか?」という、声掛けだった。新しく越してきたファミリーにも同じように声を掛けてもらった。そして、私の時と同様に「赤ちゃん本舗です。」と答えた。

一緒にご飯を食べたり、公園に遊びに行ったり、立ち話で情報交換したりして、私も子供もとても楽しく過ごせていた。

 

子供が幼稚園に上がり、体も丈夫になって多少部屋で転げ回ることも多くなった頃。

少しでも足音を立てると下から、ゴルフのクラブのようなものでどんっと突かれるような音がする。

それが頻繁になり管理人さんに相談すると、ついにまた始まったのねぇと残念そうに言う。

我が家の階下の方はいつもそうするようで、何家族も彼のせいで出て行っていると。

昼夜逆転の生活を送っているらしく、昼間の、特に子供の足音が嫌いなようだ。いつも静かに過ごしている4歳児の子供が歩く音で抗議されては、困ってしまう。

ある日も些細な音でどんどんっときたので、すぐさま階下に降りて謝罪すると、「うちはそんなことしてませんよ。」と涼しい顔をしている。おかしな人だ、訳がわからない。

次の日、IKEAで買った小物入れを組み立てていて、トントントンと軽く細い釘を打つと、下からどんどんどんと来る。また、トントントンとやると、どんどんどん。

これは、もうダメだな。

何度か謝罪に行っても、その度に知らないというし、こちらがもう耐えきれなくなった。

悔しかったけれど、夫とも話し合い引っ越す事にした。

地域は離れたくなかったので、同じ街で階下に住んでいる人がいない物件を探した。

1階か、階下が共有スペースや駐車場入り口になっているような物件。

これがなかなか見つからなかった。不動産屋さんいわく、そのような物件は腕白な男の子がいる世帯や子供が多い世帯には大人気なのだそうだ。

 

やっと見つかった物件は通りに面したマンションの1階だった。セコムも契約して、防犯にもしっかり対応した。

引っ越したその日、子供が言った。

「もう忍者歩きしなくていいんだね。」

そう、もう忍び足で暮らさなくて良いんだよ。窮屈な思いをさせてごめんね。

 

この続きは、また次回。

sea you soon