On the road〜海の街で

海街に家を建てて移り住むまでのよもやまばなし。から始まった、海街暮らしと日々のあれこれ

しあわせの香り。

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日本人の両親の元に生まれて、日本で生まれ育ったというのにご飯よりパンが好き。

私の中では、ごはん<麺<パン。

自分でも焼くくらいのパン好き。

パンは妥協したくないので、好みのパンに出会えるまでパン屋さんを巡るのも大好き。

私の住む海街はパン屋さんが多いので、その日の気分で使い分けている。

朝は食パンを毎日食べるので、原材料は気になるところ。

体によくないものを使っているパンを毎朝食べていたら、体内に何かが少しずつ蓄積して健康を害するような気がするから。

天然酵母有機栽培の小麦粉を使っている、こだわりのパン屋さんが近所にあるのは嬉しい限り。

 

子供のお弁当を毎朝作る生活をしていたときは、ご飯を炊くので朝ご飯も和風だった。

お味噌汁に焼き魚か目玉焼き、青菜の小鉢や納豆を並べていた。

今は大好きなトーストにコーヒーとリンゴが定番。

トーストにはバターと手作りのジャムか蜂蜜をのせる。

今の季節だとお手頃な値段の小粒の苺でジャムを作ったり、地元産の格安の甘夏でマーマレードを作っている。

たくさん作ったら小瓶に詰めて家族や友人に渡したり、小分けにして冷凍している。

 

だいぶ長い時間会えていない幼なじみとLINEで久しぶりに話していた時に、そういえばそうかもと思い至って彼女に言ってみた。

「私のパン好きはSちゃんちの刷り込みだと思う。」

Sちゃんの実家はパン屋さんを営んでいて、自宅とパン工場が一緒になっていた。

お店は表通りに面していて、脇道に入ったところにあったドアの向こうがパン工場

入ってすぐの階段を上がった2階がSちゃんちの実家になっていた。

遊びに行くといつも小麦粉の香りを嗅ぎながら、2階への階段を上がった。

お店にはいつもSちゃんのおばあちゃんがいて、パンが焼ける香りとクリームの甘い匂いが混じり合って本当に良い香りがした。

Sちゃんは父の学生時代の友人の娘さんで、母のお腹の中にいる頃からの長い付き合い。

家族ぐるみで食事したり、旅行に行くこともあった。

夏休みや春休みには必ず遊びに行っていた。

2歳上の姉は小さい頃お泊まりが苦手だったので、一人で泊まりに行くことも多かった。

Sちゃんには当たり前だけれど、パンの香りで目が覚めるなんて本当に嬉しかった。

Sちゃんと毎日くたくたになるまで遊んで過ぎていき、毎回家に帰る時にはパンを持たせてくれた。

 

毎朝、犬の散歩で通る道に洋菓子屋さんがある。

お店の脇を通る時、焼き菓子を焼く匂いが換気扇から洩れてくる。

パンの香りよりももう少し甘い香りではあるのだけれど、いつも思う。

「あーしあわせの香りっ。」

そして、Sちゃんちの工場を思い出す。

もう建て替えられていてあの頃の面影はなくなってしまっているのだけれど、私のお気に入りのお家だった。

香りの記憶は本当に強く心に残るもの。

パンや焼き菓子はきっとずっと大好きでいるのだと思う。

 

そして今日もパンを買いに海沿いの道に車を走らせる。

 

この続きはまた次回。

sea you soon.

高2病。

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巷では「中2病」と言っては、思春期特有の言動や、それを言ったりやったりする人のことをからかったりする。

私の場合は「高2病」。

 

少し意味合いは違うけれど、40代も後半だというのに、高校2年生の時に聞いていた音楽、好きだったファッションやカルチャー、愛読書から逃れられない。

さすがにその頃大好きだった、ベレー帽に黒のピッタリしたタートルネックタータンチェックのミニスカートにドクターマーチンのブーツなんて格好はもちろんできない。

ヒステリックグラマー、MILKやDEP'Tを巡った原宿ショッピングツアーも、懐かしい思い出でしかない。

けれども、音楽や本は今でも変わらず同じミュージシャン、作家を好きでいられる。

最近よく聞くラジオの世界では、高2の時に憧れていた大人達が今も番組を持っていて、当時の思い出話を織り交ぜながら、当時の曲を変わらず電波に乗せてくれている。

番組に登場するゲストも懐かしい面々だったりする。

この前は氣志團の翔さんが大貫さんの番組のゲストで登場し、当時のロンドンナイトなどの懐かしい話をしているのがとても楽しかった。

多分、同年代なのね。

最近の音楽も聞くけれど、やはり一人の時間に聞くのは90年代の曲になってしまう。

毎週ラジオを楽しみにしているのは、ロンドンナイト大貫憲章さん、メジャーフォースの高木完さん、はたまた渋谷系代表の野宮真貴さんカジヒデキさんの番組などなど。

もちろんピーターバラカンさん、やはり高2くらいから大ファン。

今はオンデマンドで夜中の番組がいつでも聴けるのが便利。

 

音楽とカルチャーの結びつきが今よりも強かった時代。

雑誌はキューティーやオリーブを愛読し、岡崎京子安野モヨコの漫画を読んで、太宰治三島由紀夫夢野久作江戸川乱歩などの昭和文学に傾倒。

セックス・ピストルズやクラッシュなどパンクミュージックを聴きはじめ、ビースティボーイズやラモーンズも好きになった。

はたまた、YMOプラスチックスなどを遡って聴き始めたり。

そういえば横尾忠則さんのファンになったのもこの頃。

個展でご本人に握手していただいたこともある、温かいほっこりした御手だったな。

アンディ・ウォーホールもこのくらいで興味を持ち、映画を見たりしだした。

この頃アートというものにすごく開眼した。

ネットがまだない時代に情報誌やフライヤーなどで情報を集めては、あちらこちらのギャラリーや美術館に一人で出かけた。

今でもアートに関しては一人で出かけるのが心地良い。

ライブも一人で行くことが多い。

当時は同じ温度で出かけてくれる友人はいなかったから。

今やすっかり一人で楽しめる、いや、一人で楽しむことを好むようになった。

 

若さと有り余るパワーに任せて強烈にいろんなものを読んだり、聴いたり忙しない高2時代。

頻繁にレコード屋さんに通い、ココナッツのお香を焚いてレコードで音楽を聴きながら雑誌をめくる。

時には親の目を盗んで、夜おしゃれしてこっそり出かけたりもした。

当時のクラブには今では考えられない、素敵な大人たちが気軽に遊びに来ていた。

憧れの人たちを間近で、時には気軽に話すこともできた。

かっこいい大人たちから、音楽もファッションもカルチャーも本当にたくさん影響を受けた。

同年代の学校の友達と遊ぶのとはまた違う世界。

もちろん学校も楽しかった。

勉強は得意ではなかったけれど、友達とのおしゃべりは楽しかったし、バスケットボールだって大好きだった。

でも、学校の外の課外活動も刺激的で楽しくて仕方なかった。

そんな貪欲な高2時代が強烈だったのか、今でも続く「高2病」。

今夜は大好きなビールを飲みながら、昨日の夜中の大貫さんの番組を聴こうっと。

 

この続きはまた次回。

sea you soon.

RUN。

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高校時代はバスケットボール部に所属していた。

背が高いというだけでセンターというポジションを与えられたけれど、へなちょこプレーヤーだったのでレギュラーメンバーになったことはない。

それでも3年間続けたバスケットボールは楽しかった。

バスケットボールは試合中は、ほぼコートの中を走り回っているスポーツ。

なので、部活の練習といえばとにかく走らされる。

都会の学校だったので、人や車や信号を避けて走れるのは校舎の周り。

とにかくぐるぐる走る、ひたすら走る。

走れるようになってくると、走ることも楽しくなってくる。

季節ごとに景色は変わるし、走ることはバスケと同じくらい好きになった。

 

あれから30年。

今でも走ることは大好き。

ハーフマラソンではあるけれど、大会には2回ほど参加している。

記録は2時間10分。

なかなか2時間の壁を越えられない、へなちょこランナー。

寒い時期に走るよりも、春に走る方が好き。

花粉が落ち着いてきたので、また走り出した。

海を眺めながら4〜5キロほど軽くジョギングする。

大会前などのトレーニングでは、距離も速度ももっとレベルを上げるけれど、今はその予定もないので気持ちの良いランを楽しんでいる。

気温もまだ高くないので、爽やかな風を浴びつつ、キラキラした海面に目を細めながら走る。

最高な時間。

コロナ対策としてランニングマスクなるもので顔を覆って走っている。

息も楽だし、すれ違う方がいてもこれならご迷惑をおかけしない。

そして、何よりもUV対策になる。

この時期の紫外線はすでにかなり強いので、日焼け止めを塗っても汗で流れてしまうのでこのマスクは重宝している。

普段の生活でも使いたいくらい。

 

登山をしながら走るトレイルランがこの辺りでも人気があるよう。

走っていると山から走り下りてきた、泥だらけの足もとの屈強そうなランナーに遭遇することがある。

この辺りの山は意外と傾斜がきつく、尾根も割と狭いので走るのにはハードだとは思うのだけれど。日に焼けて真っ黒で、足の筋肉のつき方が皆さん尋常ではない。

多少の勾配はあっても、アスファルトの上を走るランナーとはまた種類が違うのだと思う。

そもそもトレイルランはどれくらいの距離を走るのか調べてみたら、大会ともなれば標高1800mの山の中を30km以上も走るらしい。

制限時間は8時間というのだから、ハードにも程がある。

ランナーによれば、自然の中で木の根や土の窪みに神経を集中させて、体のバランスをとりながら走るのは刺激的なのだそう。

山道の上り下りでは足運びやペースのコントロールが難しそう。

ロードランニングもペース配分や勾配に対しての戦略は考えながら走るけれど、山や森には想定外の障害物や天候による状況変化もあるだろうから、もっともっと複雑なのだと思う。

それが楽しいと思える日が、私にもいつかやってくるかしら。

山登りは好きだけれど。

 

明日も天気が良さそう、海風を浴びに走りに行こう。

 

この続きは、また次回。

sea you soon.

食いしん坊。

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冷蔵庫の整理をしていると、強力粉の賞味期限がギリギリだった。

子供が学校の課題でリンゴ酵母を手作りした時に買った。

手間暇かけて育てた酵母でパン作りをするというので、ちょっと奮発して高級な強力粉を用意してあげた。

ほのかにリンゴが香る、もちもちな食感の美味しいパンが焼き上がった。

 

賞味期限までそんなに日数がないし、そもそも食べ物を粗末にしたくない。

強力粉クッキングに日々勤しむことにした。

まずはパン作り。

酵母は手元にないので、市販のドライイーストを購入して使った。

こんなに大変だったかしら?と思うほど力を込めて生地をひたすら捏ねた。

何度か発酵させ、結構な時間がかかって白パンが焼き上がった。

前に娘が作ったパン同様、中はもちもち外はパリッとしていてなかなか上出来。

農産物販売所で見つけた格安小粒苺で作ったジャムを載せて、明日の朝食べよう。

明日の分以外は冷凍しておいた。

 

次は中学生の時に調理実習で作って以来のうどん。

あの時は生地をビニールに入れて、代わりばんこに足で踏んで捏ねた。

多感な中学生にとって、たとえビニールが間にあるといえども、教室の床で他人の足で踏んだものを食べるのが精神的に耐えられず、試食をしなかったり、はたまた気分を悪くし早退する生徒も数人出てしまった。

私も食べられなかった。

そんな軽いトラウマの元、うどんは手打ちで作ることにした。

そんなに熱心に捏ねあげなくても、ある程度手で捏ねれば十分だった。

捏ね上がった生地を粉をふりながら、麺棒で平らに広げていく。

三つ折りして、均等にカットしていく。

これを沸騰したお湯に入れて湯がく。

今回は熱々ネギたっぷりの、肉汁つけうどんにした。

ツルッと食感もよくもちっとして、これもとっても美味しかった。

うどんは手で捏ねても大丈夫だと、当時の家庭科の先生に是非とも伝えたい。

 

粉もだいぶ消費できてきたところで、最後に作ったのが餃子の皮。

薄力粉と混ぜて作ったので、強力粉は全部しっかり使い切った。

餃子は私の大好物。

前に薄力粉だけで作ったことはあるのだけれど、強力粉でうまくできるかしらん。

まずはうどん同様に生地を捏ねるところから始まる。

捏ねた生地で小さいボールをたくさん作って、麺棒の先を使い90度づつ生地を回して、一枚ずつ円形に広げていく。

強力粉はもちっとする特徴があるので、丸に薄く広げるのがなかなか困難だった。

ただ、強力粉を使ったほうが生地がにゅーんと伸びてくれるので、タネを包みやすい。

旬の春キャベツをたっぷり使ったタネを多めに包んでも、全然大丈夫。

ぷっくりとした可愛い餃子が出来上がった。

こんがりごま油で焼き目を付けた熱々の焼き餃子、シュワっと冷たいビールにとっても合う!

粉を使い切る関係でたくさんできてしまったので、半分は冷凍しておいた。

 

こうして、賞味期限ギリギリの強力粉レスキュークッキングは終了。

手間や時間がかかる料理を、余裕をもって作れるのは嬉しい。

家族がいれば時間も気になるし、そもそも一つの料理にかかりきりなることなど不可能だったと思う。

料理自体を心から楽しめるようになったのは、ひとりになってから。

私はきっと料理をすること自体が好きなんだと、こちらに来てから気づいた。

食材も新鮮なものが安価で手に入るので、新しいチャレンジもしやすい。

品揃えの良いスーパーも近所に何軒かあるので、スパイスなどの調味料もきちんと手に入る。

味噌も糠床も作ったし、時間の余裕は心の余裕で、なんでも作りたくなってしまう。

新鮮な若鶏の卵が手に入るのでアイスクリームもお手製だし、キャラメルソースさえもチャチャっと作る。買ってくるより美味しいし、安上がり。

無駄なものを添加しない、ヘルシーな食べ物を毎日食べられるのは安心。

 

料理好きな友人が言っていたことを思い出した。

「1日3回しかご飯は食べられないのに、1食でも美味しくないものを食べたくないわ。」

彼女はほとんどを手作りして食べるし、外食も納得いかないものは絶対に選ばない。

彼女のキッチンは素人の域を越していて、もちろんフルオーダーだし、プロ向けの調理器具が並ぶ。

究極の食いしん坊だ。

でも、その気持ちが少しわかって来た今日この頃。

 

 冷凍庫に保存してあるパンや餃子は子供が来た時にでも食べてもらおう。

元々は子供のために用意した強力粉なのだから。

 

この続きは、また次回。

sea you soon.

春の嵐。

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春は天気が荒れがちの季節。

風が強かったり、低気圧が張り出したり、三寒四温の文字通り気温さえも目まぐるしく上がったり下がったり落ち着かない。

黄砂や花粉が強風で舞い上がり、鬱陶しいアレルギー症状を引き起こす。

花粉症の私にとっては体調も万全とはいかない、なんとも過ごしにくい日々が初夏まで続く。

 

都会でコンクリート造のマンション住まいをずっと続けていたので、さほど天気が生活に影響を及ぼすことはなかった。

出かける用事があっても、地下駐車場の車に乗り込み、デパートやスーパーの駐車場に移動すれば傘もいらなかった。

海街での一軒家暮らしともなれば、天候は生活を大きく左右する。

四方に窓がある木造2階建て。

嵐が来れば大きな音を立てて、雨風が建物全部に打ち付ける。

山も海も近いこともあり、雨の降り方も風の吹き方も都会の比じゃない。

高台なので浸水などの危険はないけれど、ジャバジャバと雨樋に雨水が流れていくし、植えたばかりの芝生はみるみる水浸しになっていく。

同じく植樹したばかりのオリーブやジャカランダも大きく風に煽られている。

大丈夫かしらん?と2階リビングの窓から、ハラハラしながら庭木を何度も確認してしまう。

ついには雷も鳴り出したら、ちらりと頭をかすめた停電の心配。

携帯は充電してあるかしら?懐中電灯はつくかしら?

やれやれ。

 

我が家以外にも他に人が住んでいて、鉄筋コンクリートの丈夫な建物の中にいるという安心感が少し懐かしい。

緊急事態にはマンションの管理会社もついているし、そもそも東日本大震災の際も大使館など主要な施設が近所にあったので停電はしなかった。

マンションやその周りで何かあっても、管理会社が全て手配し作業してくれる。

何もしなくても全ては元通りになっている。

今は私がほぼ一人で暮らしている海街の我が家。

家も庭も私の双肩にかかってしまっている。

そんなに気負うこともないのだけれど、私以外この家を管理する人はいない。

 

嵐が無事に過ぎ去ると、次の日はだいたい快晴なことが多い。

まずは家中の無事を確認してから、外に出る。

水浸しのポーチを抜けて、ぐるりと一周敷地を回る。

庭木は葉が多少落ちているくらいで、みんな無事。

まだ植えたばかりでも、しっかりと根が地中で踏ん張ってくれていた。

偉い偉いと撫でてあげたら、ゴミ袋片手に散らばった葉を片付ける。

壊れたり、風で飛ばされたものがないか確認。

前にしまい忘れたゴミ箱が、10m先の植え込みに飛ばされていたことがある。

そして、玄関につながるタイル貼りのポーチの掃除。

ホースで水を流しデッキブラシでこすって汚れを落とす。

また水を流して、水をかき出して乾かす。

 

ずっとマンション暮らしだったこともあり、庭木や庭のことにはあまり興味がないと思っていたけれど、家ができたらだいぶ外を見る目が変わった。

庭木は無事に大きく育ってほしいと思い、世話の仕方をあれこれ調べてみたり、家の周りもまめにきちんと掃除して美化に努めている。

外にいたら次から次にいろいろなところに目が行って、最近はホームセンター通いが続いている。

植物や園芸用品や外構、掃除用品などなんでも揃っていて飽きない。

ものが増えるのはもう嫌なので、時間をかけて何が必要か吟味する。

そのあれこれ迷う時間がまた楽しい。

いつでも庭で作業できるように、普段は汚れても構わない服装が多くなった。

ちょっとでも目につくと庭仕事スタート。

 

一生懸命プランを考えて、素敵に建ててもらった家とおしゃれな外構。

これからも大切に手を入れていこうと思う。

この家にとって頼れるのは私しかいないのだから。

 

この続きは、また次回。

sea you soon.

3.11。

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今朝の海は風もなく、とても穏やかだった。

誰もいない海で手を合わせた。

 

私はほぼ毎日海を眺めに浜にやってくる。

波も高く白波が立った荒れた海を目にすることもあるけれど、ほとんどの日は静か。

大きな海に癒され、気分良く浜を後にする。

私にとって海に行く時間はなくてはならない大切なものになっているし、海と一緒に毎日生きている。

けれど、海と共存していると思っているのは人間の方だけかもしれない。

 

10年前の東北の海。

10mを超える津波が各地の沿岸部に押し寄せた。

いつもは温かく人々の想いを受け止め、生活を支え、楽しませてくれる海が、街や家やたくさんの命を奪っていった。

朝の海で黒い巨大な波が迫りくる様子を想像してみた。

ビルの3階ほどの高さの津波は、どれほどの恐怖だろう。

人間の小ささや無力さを思い知らされ、打ちのめされた。

そして、とても悲しくなった。

自然の脅威に人間はなす術がまったくないのだから。

 

けれども、こうして今も人々は海に向かう。

海が時には恐ろしい姿で襲いかかると知っているのに。

共存しているのではなく、人々は海に生かされているのかもしれない。

「mother nature」という言葉がある、母なる自然。

子である私達人間は謙虚に、そして注意深く海と向き合う必要があるのだと海を前にして思った。

 

海街で暮らし始めて初めて迎える3.11。

今日はこの地域の中学校の卒業式が行われた。

卒業式を終えた生徒達が海に集まって、名残惜しそうに歓談していた。

「卒業おめでとう!」と街の人に声をかけられ、みんな満面の笑みだった。

希望に満ちた門出の春の日。

冷たい風の吹く東北の海街にも、希望の光があふれる暖かな春の日が早くきますように。

 

この続きは、また次回。

sea you soon.

美味しいお店。

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私の住む海街には美味しいお店がたくさんある。

3万人を少し越すくらいの人口の街に、これだけのバリエーションの美味しいお店があるのは珍しいのではないかしら?

私も夫もお酒と美味しいものが大好きなので、満足のいく外食ができるのは住む街の条件としてかなり上位に上がった。

以前候補に上がっていた海街には、お店がほとんどなかった。

一番近いのが漁師の浜焼きをメインにした海鮮料理店だったのだけれど、18時には閉店してしまう。他に飲食店は見当たらず、早々に却下になった。

外食がなければ、全食自炊せざるを得ない。

料理は好きだけれど、一生自分の作ったものを食べ続けるなんて、とってもつまらない。

 

この街には和洋中、こだわりのお料理を出してくれるお店が選り取りみどり。

先日、珍しく家族三人が集いランチに出かけた。

そこは海街の外れにある、山の中のアメリカンなお肉料理のお店。

インスタで見つけてフォローしていて、いつかはそのお店のこだわりのバーガーを食べてみたかった。アップされる写真がとっても美味しそうだったから。

牛肉100%のそのバーガーは今まで食べた中でも一番の美味しさ!

お肉本来の味がしっかりして、ぱさつかず、全く脂っぽくない。

ソースも絶妙で、お肉の味をうまく引き立てている。

お肉がさほど好きではない子供が、美味しい美味しいとかぶりついていた。

こちらのお店はアメリカでは人気のあるBBQ料理のブリスケットも、長い時間と手間をかけてスモークして提供している。

8キロあるお肉の塊も16時間スモークすると3キロになってしまうそう。

お肉の旨味がギュウッと凝縮されて、ホロホロのお肉はとっても美味しそうだった。

次はおすすめのクラフトビールを片手に、特製のブリスケットをゆっくり頂きたい。

 

この街にはコーヒーショップやカフェも多い。

我が家のすぐ裏にもあるし、自家焙煎のこだわりのコーヒーを出してくれるお店は一体何件あるのだろう。すぐに思いつくだけで4〜5件はある。

コーヒーが大好きで、必ず毎日2〜3杯は頂く私には嬉しい限り。

好みはフレンチローストのコクがあって苦味もしっかり感じられる、酸味少なめのコーヒー。

私好みの自家焙煎の豆を買ってきて、自分で挽いてゆっくりコーヒーを淹れる時間も大好きな時間。

この前乗っていたバスの窓から見つけた、新しくオープンしたらしいおしゃれなカフェには焙煎機もあるようだった。近々、行ってみようと思う。

 

コーヒー屋さんが多いからなのか、その逆なのかわからないけれど、パン屋さんと洋菓子店も多い。

特にパン屋さんはハード系が得意だったり、食パンがとびきり美味しかったり、惣菜系の食事パンの種類が豊富だったりと個性がいろいろ。

その日に食べたい味やタイプによって、あちらこちらのパン屋さんを使い分けている。

パン好きの私にとっては、天国のような街。

明日はお友達のところへ行くので、帰りにお気に入りのパン屋さんに寄ってこようと今から楽しみにしている。

 

この続きは、また次回。

sea you soon.