3.11。
今朝の海は風もなく、とても穏やかだった。
誰もいない海で手を合わせた。
私はほぼ毎日海を眺めに浜にやってくる。
波も高く白波が立った荒れた海を目にすることもあるけれど、ほとんどの日は静か。
大きな海に癒され、気分良く浜を後にする。
私にとって海に行く時間はなくてはならない大切なものになっているし、海と一緒に毎日生きている。
けれど、海と共存していると思っているのは人間の方だけかもしれない。
10年前の東北の海。
10mを超える津波が各地の沿岸部に押し寄せた。
いつもは温かく人々の想いを受け止め、生活を支え、楽しませてくれる海が、街や家やたくさんの命を奪っていった。
朝の海で黒い巨大な波が迫りくる様子を想像してみた。
ビルの3階ほどの高さの津波は、どれほどの恐怖だろう。
人間の小ささや無力さを思い知らされ、打ちのめされた。
そして、とても悲しくなった。
自然の脅威に人間はなす術がまったくないのだから。
けれども、こうして今も人々は海に向かう。
海が時には恐ろしい姿で襲いかかると知っているのに。
共存しているのではなく、人々は海に生かされているのかもしれない。
「mother nature」という言葉がある、母なる自然。
子である私達人間は謙虚に、そして注意深く海と向き合う必要があるのだと海を前にして思った。
海街で暮らし始めて初めて迎える3.11。
今日はこの地域の中学校の卒業式が行われた。
卒業式を終えた生徒達が海に集まって、名残惜しそうに歓談していた。
「卒業おめでとう!」と街の人に声をかけられ、みんな満面の笑みだった。
希望に満ちた門出の春の日。
冷たい風の吹く東北の海街にも、希望の光があふれる暖かな春の日が早くきますように。
この続きは、また次回。
sea you soon.