On the road〜海の街で

海街に家を建てて移り住むまでのよもやまばなし。から始まった、海街暮らしと日々のあれこれ

家探し。

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海街でいつか暮らしたい。

そう思ってこの何年間かにいくつか物件を見てきたが、簡単には住みたい家には出会えなかった。きっと人生の終わり近くまで住むであろう家には、少しの妥協もしたくなかった。

 

丘の上の中古住宅は見晴らしも良くて気持ちの良い場所だったけれど、台風や嵐などの災害時には急勾配の道路が心配だった。角地に建つイングリッシュガーデン付きのおしゃれな築浅物件は、目の前の川の氾濫がやや心配。サーファースタイルの板張りのスタイリッシュな中古住宅はそこに行き着くまでの道路がとにかく狭い。

核家族が当たり前の昨今ではよく問題になるが、一人暮らしのご老人が病気で亡くなり長い時間発見されなかったという物件も、少なからずあった。事故物件ではないので、普通に流通している。売主の方の善意でお知らせくださる場合もあれば、近所のお店の方から伺うこともあった。一般的に気にならない方も多いので、私が内覧した物件もきちんと買主が見つかっている。

私には特殊能力はないが、その力が備わっている友人にここには絶対住まない方が良いよ、とアドバイスされた家もひとつあった。その家は誰か亡くなったわけではなかったけれど、凡人には分からない気配があるようだ。

数年間はなかなか見つからないままだったが、本腰を入れた以上見つけなければならない。

2軒の不動産屋さんに相談し、海街に行く度に物件巡り。自分でも希望のエリアを歩き回り、空いてる土地や空き物件を求めてうろうろしていた。この時にワンコが大活躍。ワンコ連れだったら、あまり不審者に思われず安心だ。あちらこちらと引き連られるワンコにとっては、迷惑だったかもしれないけれど。

私が大好きなカフェがある。長く海外生活を送ってきたオーナーが、引退とともに開けたお店。オーナー自ら丁寧に淹れてくれるコーヒーが美味しい。以前はオーナーの奥様の実家だったという趣のある店内には、海外で集められた食器や雑貨、アンティーク家具が飾られていた。広いガーデン席もあり、春を迎えると共に、齢を重ねた青楓の葉が次第に大きく頭上に広がりとても気持ちが良い。ワンコも連れて行けるので、犬の散歩に見せかけた物件探しに疲れるとこちらのガーデン席でコーヒーをいただいた。冬には温かいホットチョコーレートも美味しい。周辺は海にも近く高台で良い住宅地ではあるのだけれど、それよりもこのお店に通いたいがために不動産屋さんへのリクエストはこの近辺にしていたくらいだ。

ある日、お店の前を通りがかると看板が出ている。今月末で一旦閉店して、移転するとの案内。その数週間前に街を襲った嵐のせいで建物にダメージがあり、年季の入った家屋を直すのには無理があるとのことで、取り壊すことにしたそうだ。幸いにも近くのご自宅にお店ができるスペースがあるので、そちらに移転するらしい。

この土地はどうするのかしら?

すぐに不動産屋さんに連絡した。

 

この続きは、また次回。

sea you soon