On the road〜海の街で

海街に家を建てて移り住むまでのよもやまばなし。から始まった、海街暮らしと日々のあれこれ

いつか。

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まだこちらに引っ越してくるうんと前の話。

ある夏休みの4日間、夫も子供も家におらず、ワンコを連れて羽を伸ばしに海街の家に一人で出かけた。まだ、一人でいられる時間が貴重な頃。東京からのドライブも好きな曲を大音量でかけながらの楽しい小旅行だった。

夏休みでも、お盆を外した平日だったので渋滞もなく静かな海街に着いた。

一通り家の中の掃除や換気を済ませたら、農産物販売所に新鮮な野菜を買いに行く。子供の嫌いなトマトもしっかり買い込む。夏の露地物のトマトは格別。トマト料理をあれこれ考えながらのんびり午後を過ごして、夕方少し前ににワンコの散歩にビーチに出かけた。

 

西に少しずつ傾く太陽に目を細めながら、夏になると現れる海の家でドラフトを1杯。

週末は混雑する店内も、お客さんはちらほら。

グレイヘアーのおじさまやおばさまが、私と同じようにゆったり杯を傾けている。

この街にはそういえば、お元気でなかなかおしゃれな年輩の方が多い。

朝夕の散歩でもたくさんお見かけする。

そこで、少し考えた。

この自由な時間をたくさん持った方々が、もっと海街を楽しめる場所があれば良いなぁ。

私は10年以上フラをやってきていて、せっかくなら何かハワイに因んだ催し物やレッスンなどができれば喜ばれるのじゃないかしら?と。もしくは、特技を活かしてそれを他の方々ともシェアしてもらえたら、それも楽しそう。なかなか自宅に人は呼びにくくても、おしゃれなレンタルスペースのようなものがあれば、人が集まりやすいかも。

お元気でアクティブな方々なのだから、きっと何か始めたい方も少なくないのではないかしら。

 

私が師事するフラの先生にこのことを相談すると、ご賛同いただけた。

先生にもこちらに足を運んでいただき、ワークショップなどをお願いしたいと思っていたし、先生のご厚意でハワイアンミュージシャンやフラの先生などにも声をかけてもらえる手筈が整っていた。

夫にも賛成してもらい、1階にスタジオ兼フリースペースと小さな店舗を設けることにした。

2階リビングを初めから決めていたので、1階には余裕があった。

 

もちろん、これはコロナ感染が蔓延する前の話。

 

その後に土地が見つかり購入、HMを決めて設計が進み具体的なミーティングが始まる頃には影響はどんどん大きくなってきていた。

人との接触を避けなければならなくなってしまったのに、店舗やスタジオなどを作ることには葛藤があった。いつコロナが終息するのか、見通しが全く立たないのだから。

気落ちしている私に夫が言ってくれた。

「やりたかったんだから、作ればいいよ。いつか人が集まれるようになるかもしれないし、もしそれができなくても、自分の家なんだから。ダメなら他の使い方したっていいんだよ。今は、作ろうよ。」と。

重ね重ね、良い人だ。涙。

 

そう、やってもやらなくてもいいんだ。

やりたくてもできないことは、今までの人生でもたくさんあった。

気が楽になって、まぁなるようになるかーという気持ちで、計画通り1階には店舗とスタジオを作った。コロナの状況によっては転用の可能性もあるので、鏡だけは貼らずにいる。

コロナ終息のあかつきには、ドンっと鏡を貼って、誰もが楽しい時間を過ごせるスペースをオープンさせたい。前向きに「できる」方向で、いろいろ構想を練っている。構想と言っても何も行動は起こせないので、もはや妄想に近いのだけれど。

 

この続きは、また次回。

sea you soon.