English。
子供と英語について話していて、高校時代の英語の先生をふと思い出した。
高校時代、勉強は好きではなかったけれど、英語は退屈しない教科の一つだった。
特に、当時L.Lという科目があり私の大好きな授業だった。
推定40代、アメリカ帰りであっただろう女性の先生が好きだった。
他の先生にはない「抜け感」があり、流暢に英語を操る姿がカッコ良かった。
おしゃれで、アンニュイな雰囲気もまた良かった。
定期試験が終わった後の授業では、アメリカのドラマを見せてくれることもあった。
「Amazing Stories」だったか、不思議なストーリーのオムニバス。
もともとアメリカ文化にとても興味もあったし、気軽に海外ドラマなど見られない時代だったので、毎回楽しみだった。
英語の授業は他の教科に比べて勉強もしたし、その後アメリカ留学にも繋がっている。
もちろん、英語といっても楽しい授業ばかりでなはい。
英文法と言うと、特に私たち日本人にはややこしい表現もある。
現在完了などは英文法の中で、私達がまずぶち当たる壁ではないかしら。
日本語にはない時制だけに、説明だけされても初めは理解しづらい。
現在完了形と過去形には違いがあり、ネイティブの方は会話でよく使うので、慣れていないとお互い混乱してしまう。
過去形、現在完了形、現在完了進行形、過去完了形、過去完了進行形と頭を悩ますばかり。
会話の中で使うようになって、自然と出てくるまでは困難だった。
使ってみて間違えて、また使ってみるの繰り返し。
海街に引っ越してきて、1ヶ月が過ぎた。
家自体はできていたが、生活するにはまだまだ。全体としては未完成。
Wi-FiもなかなかNTT工事の順番が回ってこない。
仕方なくポケットWi-Fiで、どうにか暮らしている。
いくつかのことをこれらの英文法を使って挙げてみると、
I moved to here last month.
My house had been built when I moved here.
The construction of my garden has not finished.
If I had ordered telephone line construction to NTT earlier, I could have connected Wi-Fi soon.
そう、外構工事はまだ絶賛続行中。
我が家の外構工事はHMにお願いせずに、私達で探し出した外構専門の業者さんにお願いした。昨今の日本の気候は目まぐるしく、嵐のない季節に嵐がやってきたり、雨の日がやたらに続いたり。暦で天候を判断するのはもう難しいのかもしれない。
外構工事は天候に大きく左右されるため、昨年の長雨の後から工事は押しに押してしまった。
我が家の場合、前に住んでいたマンションを出なければならなかったので、とりあえず引っ越しができれば良かった。
外構は玄関周りが土だらけになることに目を瞑れば、生活には特に支障ない。
スタッフの方々は休日返上で工事を頑張ってくれている。
毎日進化していく様子を見られるのは、ちょっと楽しい。
そろそろ工事も本格化して来ていて、昨日からマイカーを近くのお宅の軒先をお借りして2週間ほど停めさせていただく。
我が家の御近所さんに頼めなくもなかったけれど、お礼や気遣いもお互い面倒なので、「軒先パーキング」というサービスを使った。
正直、あまり経費もかけたくないので、ネットサーフィンして見つけた。
今は冬なので海街での時間貸し駐車場の需要はさほど高くない。
駐車代は時価で設定されているよう。
今回は、1日300円!
土日は500円にUPするが、それでもタイムズなどに長期で停めるよりはうんとお安く済む。
月極と比べても、駐車場といえども1ヶ月契約すれば敷金等の初期費用が嵩むので、ベストな選択だったと思う。
毎日外構の完成パースと睨めっこして、2階リビングから工事の様子をこっそり窺っている。
出来上がりが本当に楽しみ。
この続きは、また次回。
sea you soon.
いつか。
まだこちらに引っ越してくるうんと前の話。
ある夏休みの4日間、夫も子供も家におらず、ワンコを連れて羽を伸ばしに海街の家に一人で出かけた。まだ、一人でいられる時間が貴重な頃。東京からのドライブも好きな曲を大音量でかけながらの楽しい小旅行だった。
夏休みでも、お盆を外した平日だったので渋滞もなく静かな海街に着いた。
一通り家の中の掃除や換気を済ませたら、農産物販売所に新鮮な野菜を買いに行く。子供の嫌いなトマトもしっかり買い込む。夏の露地物のトマトは格別。トマト料理をあれこれ考えながらのんびり午後を過ごして、夕方少し前ににワンコの散歩にビーチに出かけた。
西に少しずつ傾く太陽に目を細めながら、夏になると現れる海の家でドラフトを1杯。
週末は混雑する店内も、お客さんはちらほら。
グレイヘアーのおじさまやおばさまが、私と同じようにゆったり杯を傾けている。
この街にはそういえば、お元気でなかなかおしゃれな年輩の方が多い。
朝夕の散歩でもたくさんお見かけする。
そこで、少し考えた。
この自由な時間をたくさん持った方々が、もっと海街を楽しめる場所があれば良いなぁ。
私は10年以上フラをやってきていて、せっかくなら何かハワイに因んだ催し物やレッスンなどができれば喜ばれるのじゃないかしら?と。もしくは、特技を活かしてそれを他の方々ともシェアしてもらえたら、それも楽しそう。なかなか自宅に人は呼びにくくても、おしゃれなレンタルスペースのようなものがあれば、人が集まりやすいかも。
お元気でアクティブな方々なのだから、きっと何か始めたい方も少なくないのではないかしら。
私が師事するフラの先生にこのことを相談すると、ご賛同いただけた。
先生にもこちらに足を運んでいただき、ワークショップなどをお願いしたいと思っていたし、先生のご厚意でハワイアンミュージシャンやフラの先生などにも声をかけてもらえる手筈が整っていた。
夫にも賛成してもらい、1階にスタジオ兼フリースペースと小さな店舗を設けることにした。
2階リビングを初めから決めていたので、1階には余裕があった。
もちろん、これはコロナ感染が蔓延する前の話。
その後に土地が見つかり購入、HMを決めて設計が進み具体的なミーティングが始まる頃には影響はどんどん大きくなってきていた。
人との接触を避けなければならなくなってしまったのに、店舗やスタジオなどを作ることには葛藤があった。いつコロナが終息するのか、見通しが全く立たないのだから。
気落ちしている私に夫が言ってくれた。
「やりたかったんだから、作ればいいよ。いつか人が集まれるようになるかもしれないし、もしそれができなくても、自分の家なんだから。ダメなら他の使い方したっていいんだよ。今は、作ろうよ。」と。
重ね重ね、良い人だ。涙。
そう、やってもやらなくてもいいんだ。
やりたくてもできないことは、今までの人生でもたくさんあった。
気が楽になって、まぁなるようになるかーという気持ちで、計画通り1階には店舗とスタジオを作った。コロナの状況によっては転用の可能性もあるので、鏡だけは貼らずにいる。
コロナ終息のあかつきには、ドンっと鏡を貼って、誰もが楽しい時間を過ごせるスペースをオープンさせたい。前向きに「できる」方向で、いろいろ構想を練っている。構想と言っても何も行動は起こせないので、もはや妄想に近いのだけれど。
この続きは、また次回。
sea you soon.
海街暮らし。
朝起きると、まずはベッドの中でスマホを手に取り、子供にLINEする。
「おはよー」
すると、早起きして作ったお弁当や朝ごはんの写真を、短い挨拶とともに送ってくる。
「おは」
その日の天気や学校の提出物などの連絡事項を少しの時間やり取りする。
いったん、スマホから離れて起き上がる。
少し経つと、
「いってきます」とLINEが届き、「いってらっしゃい」と返す。
のそのそと身支度を整えたら、ワンコを連れて海に散歩に出かける。
海は毎日、律儀に姿を変えてくれるので、新鮮な気持ちで浜を歩くことができる。
海の色も、砂浜の色も、漂流物も、風も、空も、雲も、全てが形を変える。
波が高ければサーファーの姿が、穏やかなら釣り人の姿が。
海にいる人さえも毎日違う。誰もいないことだって、よくある。
冬の朝の散歩は、都会では少し憂鬱なものだったけれど、海街ではワンコを口実に私が散歩に行きたい。
のんびり風景写真を撮ったり、ワンコの穴掘りに付き合ったり、ときにはワンコの飼い主同士でお喋りしたり。1時間くらいゆっくり海辺を歩いて、家に戻る。
ワンコはすぐにソファーを陣取り、居眠りを始める。
私は地元のコミュニティーラジオをかけて、コーヒーを入れる。
りんごをむいて、バタートーストを焼く。
40代アッパーがターゲットであろうラジオステーションは、懐かしい気持ちの良い曲を流してくれる。
バタートーストにたっぷり蜂蜜をかけて、頬張る。
私が大好きな朝の時間。
「さあ、今日は何をしようか」
読みたい本もあるし、ベッドカバーも洗いたいな、キッチンの床も磨きたいな。
などと、あれこれ考えて1日が始まる。
海街にやってくる前から、家にいるのは好きだった。
特に冬は寒いのが苦手だったり、コートの脱ぎ着が面倒だったりして家にいることが多い。
手を動かすのも好きなので、よく針を持っている。
書のお稽古もあるし、本を読むのも、音楽を聴くのも大好き。
大好きなドラマは録画しておいて、CMを飛ばしてゆっくりみる。
もちろん家事も一通りはしないと気が済まない。
家での1日はあっという間に過ぎていく。
料理も一人でいれば時間が決まっているわけではないのでお腹が空いたときに、食べたいものを作る。ゆっくり丁寧に作る時間があるので、手をかけて作ることも多い。こうなると料理も楽しい。
昼間見ていたドラマの中で、美味しそうにフレンチフライをつまむシーンがあった。
「美味しそーう」
頭の中はフレンチフライでいっぱいなのに、近くにバーガーショップなんかない。
冷蔵庫の中にはジャガイモがいくつかあったはず。夜はフレンチフライに決定。
細めにカットしたジャガイモをしっかり水にさらし、水気を切って粉をふり、時間をかけて油で揚げる。塩をしっかり振ったら、マスタードとトマトケチャップをたっぷりお皿に。
揚げたてアツアツのフレンチフライをキッチンでつまみながら、ビールを開けた。
お行儀は悪くても、気分はビアスタンド。蒸し器でスチームしたてのキャベツやブロッコリーもぱくつきながら、ビールをゴクリ。ラジオからは軽快なジャズが流れて、気分良し。
キッチンに広めのカウンターをつけて良かった。
高めのキッチンに合わせた、ハイチェアがひとつあると良いな。
一人の海街暮らし。今のところ、のんびり楽しませてもらっている。
やりたいこともあったのだけれど...。
この続きは、また次回。
sea you soon.
多拠点生活。
我が家は3人家族だけれど、普段はそれぞれ別の場所で暮らしている。
私は主に海街暮らしで、時折東京の子供のマンションに行く。
子供は主に東京暮らしで、時折海街にやってくる。
夫は関西で仕事をし、時折海街に帰ってきて、たまに東京にステイする。
これが今の生活スタイル。
寂しいでしょう?とか、気ままで良いね〜とか、周りの感想はいろいろ。
この生活が始まったとき、子供は不満そうではあった。
親の都合で不便な一人暮らしを強いられている、と少しは思っていただろう。
今まで、生活のすべてを私に委ねていたのだから。
学校の課題の手伝いや習い事の段取り、出先への車での送り迎えなど、365日24時間困ったらすぐに手を差し伸べてくれていたクラシアン的な母親がそばにいない。
不便極まりないし、ひとり暮らしの寂しさも不安もあるはず。
気持ちはよくわかる。
私も夫も寂しい時がないわけではないけれど、この生活は子供の成長にも良い機会だと捉えている。
前に暮らしていた東京の家の周りには、子供を小さい頃から留学させたり、全寮制の学校に通わせていたりする家庭が少なくなかった。
子供の同級生も高校に上がると、多くの友人が海外に飛び立っていった。
私達も子供に海外留学をずっと勧めていたが、興味を持ってはくれなかった。
私も夫も大人になってから海外生活を経験していて、二人共通の意見は、
「もっと早くに出ればよかった」。
語学や環境、異文化への順応も、若ければ若いほど早いだろうし、学べる時間を多く持てるのは本当に幸せな事だと考えていたから。
自分で考え、責任を持って行動する力を養うには、親元を離れるのも良いだろうとも思った。
若ければ失敗しても立ち直ることも容易だし、差し伸べられる手も多いだろうから。
英会話を習ったり、英語の資格を早い時期に取得したり、欧米の文化に興味がないわけではなさそうだったが、留学にはまだ心が動かない。時期を待つしかない。
今回一人で暮らさせるには、きちんと失敗もして欲しいという思いがある。そして、親の腕の中にいては見えない社会というものを、自分の目で見せたかった。
結婚するまで電気代やガス代を払うのを知らなかったとか、お米の値段を知らなかったとか、得意げに話す人々がいる。親のコネで会社に入り、いただいたお給料は全部お小遣いだったと。裕福なのと無知なのとは違う。私は子供にそうなって欲しくなかった。
社会の仕組みを知り、ものの値段を知り、国の経済に、政治に興味を持って生きて欲しい。
知識があり、自分の考えがあり、希望がある。そんな人間を育てたかった。
一人暮らしは知らないことを知り、失敗から学べる絶好の機会だと考えてる。大きな責任は私達親がまだまだ持ってあげられるのだから。
この前、子供と電話していたら、
「近くのスーパーで29日は肉の日で特売日だから、ちょっと行ってくる。」と言う。
そうそう、お金の大切さもしっかり学んで欲しい。
日本ではお金についての学習時間がまだまだ足りないと思う。
私達の親世代は、お金の話は下品とさえ思っている節がまだある。
生活の中のお金について、親にも学校でも教えてもらった記憶がない。
資本主義社会でお金の話を避けるのはどうなんだろうか。
どれだけのお給料で、どれだけの生活ができるのか、理想の家計はどんなものか。
税金や銀行の仕組み、貯蓄や投資の方法、資産の作り方は誰もが必要な知識のはずなのに。
最近は子供も一人暮らしに慣れてきて、家のことも料理も買い物もだいぶこなれてきている。
LINEで顔を見ながら会話もできるし、偶然にも新型コロナ感染拡大が重なり、社会全体でリモートというものが身近になっている。
会えない日々が愛を育てると、誰かが歌っていたけれど、それもあるかもしれない。
お互いに些細なことで憎まれ口を叩けなくなった今は、子供との関係も良好。
これは、夫婦にも言えるかも。
会える時間を大切に、愛を育てましょう。
この続きはまた次回。
sea you soon.
極意。
引越しの次の日に、ソファーが届く。
そう、勇み足で早々に購入してしまったソファー。
配送のスタッフの下見では2階リビングには階段から上がる、とのことだった。
引越し時にもアンティークのサイドボードやチェストなど、階段寸法ギリギリ家具がいくつかあったので、事前にHMのスタッフに階段の手摺りを外してもらっていた。
下見にも来てくれた配送スタッフがソファーを運んできて、すぐに養生を始める。
設置場所を確認し、もう一人のスタッフとあれこれ打ち合わせて作業開始。
一階で梱包をはがした実物を見ると、お店で見た感じよりも3割は大きく感じる。
インテリアの買い物にはよくあることだけれど、ちょっと心配になった。
人力に任せるしかない搬入をドキドキしながら見守った。
掛け声をかけながら、慎重に運び上げる。
そして...上がりました!!人もソファーも家ももちろん無事。
二人掛けの180×105×60寸法ながら、インポートなのでとにかく厚みがあり、電動のリクライニング付きということもあり重さがかなりあった。
お礼を言った時の配送スタッフの方の一言が心に残る。
「下見で上がると申し上げた以上、上げないと。」
仕事はこういう責任感でやっていかねばならないと、感心した。
3人必要とお店のスタッフには見積もってもらっていたけれど、結果2人で済み返金があった。
こうして、大きなものはしっかり予定通りに2階リビングに上がった。
各スタッフの方々には本当に頭が下がる。感謝!
2階リビングを考えるときには階段の形状、設置する家具や家電の大きさをまず確認することが必要。そして、階段の手摺りは建築検査の時には付いていないと許可が下りない。検査が終わったら、一度取り外してもらい引越しに備えることも大切だった。
家づくりには経験しないとわからなかったり、気付けないことがままあった。
我が家はギリギリ全てがうまく収まってくれたけれど、本当にギリギリだった。
本当は冷蔵庫もインポートのものも考えていたけれど、ソファーのように勇み足で早々に購入してしまっていたら、2階には上がらなかっただろう。
階段の形状も何度かデザイン変更したけれど、その時に搬入目線は持っていなかった。
「このまま3階があったら入りませんでした」と、引越し屋さんや配送業者さんに今回よく言われた。そういえば、一番初めのプランは3階建てだったと思い出し、ひやっとした。
何もかもに目が向けられる聖徳太子のような人は稀だろう(聖徳太子は耳だったか)。
家づくりに落とし穴はつきものなのだと思う。思い通りにはいかないし、いかなかったことで良い方に向かったこともある。新しい発見があったり、アイデアが突然浮かんだり。
その度に相談に乗ってくれる頼もしいスタッフに出会うこと。
家づくりはこれに尽きるのだと思う。
とってもとっても大変だけれど、楽しい。楽しかった。
一生に一度でも家づくりの経験ができて、本当に幸せだと思う。
引っ越しを終えてからの話は、また次回から。
sea you soon.
続・怒涛。
東京のマンションからまさに車をすっ飛ばして、海街の新居に着いた。
既にハウスメーカーのHさん達が待ってくれていた。
早速、家の鍵の引き渡し。
ダークシルバーの箱に赤いリボンの小箱を頂いた。中には新居の鍵。
まるでプロポーズのような演出で、とっても嬉しかった。
新しい鍵が差し込まれ、これで工事用の鍵は使えなくなる。
みんなで新居の2階リビングに上がり、鍵などの説明といくつかの書類をいただく。
追加の作業はいくつか残っているけれど、これで「我が家」の出来上がり。
前回の最終確認の際にスタッフと記念撮影をしたり、竣工記念にファミリーネーム入りのワインを頂いたり、ちょっとしたセレモニーは済んでいたので、Hさん達はご挨拶とともにお帰りになった。本当に気持ちの良い方達に家を造っていただけて、私達は幸せだと思う。
大変な作業をともに悩み、考え、乗り越えて頂いた。思いのこもった、素晴らしい家が出来た
と思う。皆さん、本当にありがとう!
そんなこんなで新しい鍵を握りしめ、しみじみしながら愛犬と引越し屋さんの到着を待った。
しばらくすると、インターフォンが鳴った。
冷蔵庫の配送が先に来た。パパっと要領よく2階に運び終えると、
「こんなご時世ですので、私達は中は触らないのでお客様ご自身でテープや梱包材はおはがしください。消毒等されてから、ご使用ください。」。
業者さんが帰ってから、ピリピリと冷蔵庫内のあちらこちらに留めてあるテープをはがし、梱包材をゴミ袋に入れていった。
ここで、夫から電話。
「今出たから、僕もそっちに電車で向かうよ。」
今なの?もうすぐ3時回るけど?
仕方ない。荷物が多いウチのせいだもの。
お腹も空いたので、歩いて5分のスーパーにお昼を買いに出掛けた。
鍵を閉めるのに、新しい鍵を回した。
なんだか、感慨深い。
夫が電車で到着しても、引越しやさんはなかなか着かなかった。
ちなみに引越し屋さんのトラックにお客さんは乗せてもらえないらしい。映画やドラマではよく助手席に乗せてもらってるのにね。
夕方、やっとトラックが着いた。
大きなトラックが2台家の前に着くと、すぐに養生が始まりどんどん荷物が2階のリビングに上がってきた。
懸念していたアンティークのサイドボードは引越しスタッフの息の合った作業で、無事に2階に上がった。これを中心にインテリアを考えていたので、本当にありがたい。
引越し屋さんの営業の方はこのアンティークを気に掛けてくれていたけれど、本当のダークホースは寝室に置くチェストだった。こちらは、本当にスタッフさん苦心して上げてくれた。
誰も怪我せず、家も傷つかなくて良かった。
現場でしかわからないことがいろいろある。
大きな家具を運び込むと、今度は大量の段ボールが積み上がっていく。1枚でも多く段ボールを持ち帰っていただきたいので、こちらもハイスピードで開けて畳んでいく。手首が痛いだの、爪が痛むなど言っていられない。
その合間にガスの開栓に東京ガスのスタッフが来る。これでお湯が出るので、今夜はお風呂に入れる。ほっ。
遅くなる前にご近所に菓子折を持って引っ越しのご挨拶。
以前、工事のご挨拶に回ったときにお子さんがいる家庭も多かったので、元の近所で一番お気に入りのケーキ屋さんの焼き菓子セットをお渡しした。ちなみに工事の挨拶の時は暑い時期だったこともあり、食べ物は傷んだりするのも困るし、ご近所にはカフェもあるのでコーヒーやお茶類は避けたい。ということで、茅乃舎の贈答用の出汁セットにした。
皆さん、笑顔で対応してくれた。これからよろしくお願いいたしますね。
それからも山のような段ボールとの戦いは続いた。
バタバタと作業は進み、星がくっきり夜空に浮かんだ頃にどうにか作業は終わった。
朝からスタッフの皆さん、遠くまで、遅くまでありがとう、と手を振り送り出した。
時計を見ると19時半。
とりあえず、ご飯に行こうと近くのチャイニーズに電話をかける。
「時短営業でもうすぐラストオーダーなんです。」。間に合わない。
イタリアンにかける。こちらも時短。都会のようにUberもこの辺りはまだない。
諦めて、スーパーでお惣菜でも買い込んでくるかと出掛けるともう閉まっていた。
そう、スーパーも時短営業だった。
結局、コンビニで缶ビールとレンチンして温めるお惣菜を買って帰ってきた。
まだテーブルが届かないので、段ボールにランチョンマットを敷いて夫と乾杯した。
最後の最後までコロナに翻弄された我が家の家づくり。
無事に家は建ち、引っ越しも出来た。
もう、それで良しとしよう。
その夜は埃が舞う中、夫婦共々くたくただったので、慣れない新居でもぐっすり眠った。
この続きは、また次回。
Sea you soon.
怒涛。
季節はいつの間にか秋から冬になり、海の向こうの富士山にも雪がうっすら。
季節の移り変わりをゆっくり楽しむ余裕は、今年はまったくなかった。
引っ越し当日まで、来る日も来る日も段ボールとガムテープ、緩衝材にまみれ、不用品やゴミの処分に明け暮れた。
マンションだったので、比較的に自由にゴミ出しができる環境だったのはありがたかった。
管理人さんにも「気にせずにどんどん出してくださいね。」と温かい声をいただき、甘えさせてもらった。
まずは子供の引っ越し。
1LDKのマンションに子供部屋の荷物を車で運び込んだ。
家具や家電、キッチン道具は以前借りていた海街の家で使っていたものを、預けていた実家から引っ越し業者さんに運んでもらった。足りないものを購入し、配送してもらい、受け取る。
家で引っ越し準備をしながら、配送時間に合わせて子供の家と行ったり来たりの日々。
そうこうするうちに、初めはがらんとしていた部屋はどんどん物で埋まっていった。
シングル向けの間取りなのであまり大きくはないけれど、ウォークインクローゼットがあるので、ここを最大限に活用。突っ張り棚や布団圧縮袋を買い込み、ハンガーは薄いものに取り替えた。洋服や物がだいぶ納まってきた。
そしてついにニトリから頼れる家具が届いた。
収納付きベッド。
これがとっても優秀で、ベッド下の半分がタンスになっていて、深型の大きな引き出しが二つ小物収納に便利な浅型が二つ、計4つの引き出しが片面に並んでいる。もう半分はフリーの収納になっているのだけれど、マットをどかし、板を上げなければならないので、季節家電やスーツケースをしまった。これだけで、洋服や下着、タオルなどもしっかり納まったのでチェストを置く必要がない。
ニトリ、優秀。
他にも収納棚や収納用品、ラグマット、コンパクトなテレビ台、伸縮式のダイニングテーブルなどもニトリで揃えた。
痒いところに手が届くサイズ展開と商品の豊富さは、まさにお値段以上だった。
それからは電気や水道、ガスの契約。光回線の工事や各種転居の手続きに右往左往。
やっと子供のマンションが落ち着いた頃には、私達の引越しが目前。
寝る間、食べる間を惜しんでの作業で、どうにか全てを段ボールに納めて、引っ越しの日を迎えられた。
引っ越し屋さんが部屋を一通り眺めて言った。
「お二人の引越しと伺っていましたが、これは5人家族分のお荷物ですね〜。」
え!!
「お時間が予定よりもかかるかもしれません。」
あんなにあちらこちらに出向いて物をリサイクルにまわし、処分もしたというのに。
13時に施工会社からの鍵の引き渡しもあるし、冷蔵庫も届くし、ガスの開栓だってくる。
午前中に積み込みを終えた引越し屋さんを送り出し、不動産業者と部屋の最終確認をし、鍵を返す。近くのお惣菜も美味しい食料品店でお昼ご飯を買い込み、夫婦で東京生活について語らいながら車で新居に向かう計画だった。
しばらく搬出の様子を見ていたが、全然間に合いそうにない。
夫を残し、ワンコを連れて私が先に新居に車で向かうことに。
外に出ると大きなトラックが2台並んでいて、既にそれぞれの荷室はだいぶ埋まっていた。
全部乗るのかしらん?と一抹の不安を抱えながら、エンジンをかけた。
長く住んだ街にゆっくりお別れする間もなく、慌ただしく東京生活は終わった。
センチメンタルになる余裕は一切なく、海街に向けてアクセルを踏み込んだ。
まだまだ続く引越し作業。
この続きは、また次回。
sea you soon